2.GPの尾錠はなぜ1万円なのか?
6月にGPのクロノグラフを手に入れました。といっても現行品ではなく60年代の
ステンレスの手巻きのクロノです。中の機械はユニバーサルのCal.281。
実はこのユニバーサル281をひとつは手に入れたくて探していたところ、ケース径
33mmの使いやすそうな小振りサイズで竜頭も大きく、表情もなかなか良いこのGPに
出会ったわけです。お気に入りの時計には純正の尾錠を付けてあげたくなるもので、
さっそくGPの尾錠を買いに新宿のデパートに行きました。
時計メーカーの純正の尾錠はこれまでに二つ購入したことがあります。ひとつはロレックス、
ステンレスで5500円でした。こんな小さなステンレスの部品ごときで5500円とは
さすが人気のロレックス、強気だなあと思ったものです。もうひとつはブライトリング、
2000円でした。意外に良心的なので好感を持ちました。今これは古いPremire
にしっかり付いて活躍しています。
さてデパートの時計売り場、ショーケースに入ったGPのひとつを指差しながら店員さんに
たずねました。
「この時計に付いているような、ごく普通の形の尾錠はありますか?」
「おとりよせになりますが、ございます」
「おいくらですか?」
「えー1万円になります」
「いっ・・1万円!? そんなに高いんですか?この普通の尾錠が・・?」
「はい。(現行品の)GPオーナーの方がその時計の付け替え用に購入する場合は
保証書を提示くだされば7000円になります」
「そうですか・・検討してみます・・」
1万円だそうです・・結局GPの尾錠の購入はすっかりあきらめました。
それにしてもGPさんはどういうつもりの販売戦略なんでしょうか?民間企業の商取引
ですから、どんな値付けをしようと勝手ですが、ロレックスの2倍くらいのステイタスが
あると思っているのでしょうか?
つづく・・
投稿日 8月19日(水)21時40分 投稿者 ジジ
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3.GP3100は本当に自社製ムーヴメントなのか?
「マニュファクチュール」という名称は本来、部品から最終組み立てまですべてを一貫生産
できる工房を指しています。各部品の会社を超えた分業体制が極限まで進み、資本関係も
複雑な現在のスイス時計業界において、もはやこの言葉は死語なのかもしれません。
機械式腕時計全盛期といわれた今世紀前半においても、ケースや風防、文字盤の専業メーカー
がありましたから、この時代においてさえすでに、この言葉の存在は意味をなさなかったの
かもしれません。もはやこの言葉は小規模な工房が家内制手工業的に時計を作っていた
古き良き懐中時計時代の遺物なのでしょうか・・。
さて、こういった現代においてさえなお、あえて「マニュファクチュール」を標榜する
メーカーのひとつがGPです。その「マニュファクチュール」へのこだわりようは業界一とも
言えるほど気合が入っており、ジャガー・ルクルトが部品工場を公開して「この部品は
この機械で製造しています」とサラリと言ってのけるのに比べ、GPは言葉だけながら
「自社ムーブだ」「一貫生産だ」と、その声の大きさには鬼気迫るものがあります。
最近ではご丁寧にも文字盤にまで「マニュファクチュール」と書き入れる徹底ぶりで
(もちろんカタカナではありません。カタカナだったら戦時中の「セイコー」のようで
かわいくて、かえって欲しくなってしまいます)ここまで城壁を固められると、一体
中に何を隠しているんだと辺に興味が沸いてしまいます。
GPが日本の時計雑誌に頻繁に登場するようになったのは92年からです。「世界の腕時計」
でもNo.11(92年4月発売)から毎号に渡って数ページの広告が記事形式で載っています。
92年というのはGP社にとっても節目の年で、この年現社長であるマルカーソ氏が就任
しました。彼は元レーサーでありながら時計のセールスに転身、頭角をあらわし、やり手で
知られているそうです。GP社は宝飾のブルガリ社と深い関係がありますから、もしかしたら
彼はブルガリの出身かもしれません。
彼の社長就任と同時にそれまで地味だったGPは生気にあふれ第一線へと踊り出てきます。
まず、過去の名作であったスリーピンクゴールドブリッジトゥールビヨンを腕時計で復活させ、
トノークロノのブームを巻き起こし、そして94年ついに自社ムーヴメントGP3100を
完成させます。
なぜかこのGP3100完成以前からGPは自らを「今でも一貫生産を守り抜く」と枕詞の
ように連呼しつづけてきましたが、新ムーヴの開発には確かに時間がかかるでしょうし、
92年当時にはすでに自社ムーヴは将来の確定事項でもあったでしょうから、ここは
“企業戦略上の善意のフライング”として大目にみなければなりません。
それではこのGP3100は本当にGP社で製造されたムーヴメントなのでしょうか?
答えはわかりません。遠く極東に住む私にはあまりに情報が少なすぎます。海外の掲示板で
「詳しくは言えないが、あれは外注です」と言っていたフランスの時計業界の人もいましたが
彼をどこまで信用して良いのかもわかりません。ですから私が何を言おうとそれは全く想像の
域を出ていないのですが、GP3100に関して腑に落ちないことがあるのも事実です。
3−(2)へ つづく・・