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のんびりリセット問題のまとめ
#この頁は、カナダ在住の時計愛好家のハンソロさんが作成いたしました。
 
事の始まりは、タラゴーム9番さんの1本の書き込みからでした。
#だいたい事の起こりは、悪魔ページにしてもそうですが、この人です。(笑)
 
オークションで購入したWALTHAMのクロノグラフ(自動巻、KELEK1369)が、リセットの時に
「押した分だけ戻るような感じ」である。以前、ジジさんがMOVADO95Mで同様の症状を報告
されたが、自分の触ったMOVADOのクロノは瞬時にリセットした。果たして、機械の特性なの
か、それとも整備不良なのか?
 
それに対して、様々な意見が出されました。まずは、MOVADO 95Mについて、本当はこの機種
が「瞬間リセット」なのか、それとも元々「のんびりリセット」なのか、それを検証しまし
た。まずは、Tokuさんから、「私のMOVADO 95Mは瞬間リセットです」との報告。さらに、
ジジさんがMOVADOについて詳しい原宿ディレクティーズに確認をとったところ、やはり、
瞬間リセットでした。これで、機種の特性という線は消えた。やはり、「整備不良」か
「故障」です。
 
そこで、他に「のんびりリセット」を持っている人はいないか、みんなの声が集められました。
 
ジジさん MOVADO 95M
タラゴーム9番さん VALJOUX 72 KELEK1369
DADAさん ZENITH 146 LONGINES 30CH
Aoさん CITIZEN 8810
 
さて、ここから素人集団の検証が始まります。みんなの意見や報告を元に、リセット機構には
いくつかの種類があることが判明したので、それを以下に記します。
 
ここからは、図を見ながら読んでみて下さい。
図1はこちら
図2はこちら
 
A)バルジュー72などのタイプ(図1、2)
 
まずは図1を見て下さい。これはクロノグラフ停止時ですが、この状態では、ブロッキングレバー
がセンター車に接触しています。フライバックレバーは、鼻先がピラーホイールから浮いた状態
になっています(これは押さえバネによって止まっています)。そこから、リセットのアクション
が始まる訳ですが、これはリセットプッシュによって、緑の方向に力が加わります。
 
これによって、フライバックレバーは回転運動を始めようとする訳ですが、それには、鼻先の部位
に、ブロッキングレバーの突起物が邪魔しています。これによって、ある程度、「タメ」をつくる
ことが出来るようです。そして、ある程度以上の力が加わると、急速にフライバックレバーが運動
を始めます(図2)。そして、リセット終了後は、また図1のポジションに戻ります。
このタイプには、ZENITH146、バルジュー23などがあります。
 
B)ZENITH エルプリメロなどのタイプ
 
本的に、フライバックレバーのリセットアクションは、VAL72と同じですが、リセット終了後も、
フライバックレバーは図2の状態のままです。クロノスタート時に、ピラーが回転して、フライ
バックレバーの鼻先を押し上げます。(註)
 
C)レマニア321などのタイプ(リリース方式)
 
フライバックレバーを持ち上げておいて、リリースするタイプ。クロノストップ時には、フライ
バックレバーは図2の位置であるが、力はすでに動作方向に加わっています。それを、ピンのよ
うなもので押さえています。リセットアクションで、そのピンがはずれ、フライバックレバーが
ハートカムを叩きます。VAL72とは違い、もともとピラー方向に力が加わっている状態で、クロノ
動作時にはピラーが、停止時にはピン状のものが、フライバックレバーの動きを押さえています。
リセットで、その押さえがなくなり、急速なリセットアクションが起こります。
このタイプにはVAL92やレマニアCH27, 1872などがあります。
 
さて、これらのことから、実際にVAL72の「のんびりリセット」は、どのような機序で起こるかを、
クロノグラフ分科会第一回集会で、検証されました。
 
98年9月5日、上野にて第一回クロノグラフ分科会開催
参加者
ジジさん、まうまうさん、Tokuさん、みつおさん、古幡さん、DADAさん
 
「のんびり」が起こる可能性は、次のようなものが考えられました。
 
(1)フライバックレバーの「あご」が磨耗して、タメがつくれない。それによって、当然ブロッ
キングレバーの解除も、早い段階で行えない(もしくは、解除自体が行えない)。
 
(2)リセットプッシュからフライバックレバーの動きを伝えるレバー類が、うまく作動しない。
 
(3)フライバックレバーとブロッキングレバーの位置関係がおかしいため、ブロッキングレバー
の解除が行えない。
 
検証した結果、バルジュー72は(1)が原因であると解明しました。また、タラゴーム9番さんの
VAL72は(2)が原因のようです。DADAさんのロンジン30CHは、フライバックで動きが複雑である
ため、確定できなかったのですが(2)の可能性が高いようです。
 
可能性として上の3つの原因、どれでも起こり得ると思われますが、(3)に関しては調整で直る
可能性がありますが、(1)と(2)は部品交換が必要でしょう。買うときにチェックして、「の
んびりリセット」である場合には、注意が必要という結論になりそうです。なかなか有意義な議論
であったのではないかと思います。
 
【結論】クロノグラフ購入時には「のんびりリセット」にも気をつけましょう
(註)掲示板でエクセルシオパークはB)の方式とジジさんが書かれましたが、ジジさんより
以下のような訂正が入りました。
 
エクセルシオパークは確かに待機時はフライバックレバーはピラーにはまっていますが、リセット
方式はエル・プリメロ、しいてはVAL72とは異なります。
例のクロノ本のP224の上2枚の写真を見ていただければわかると思いますが、アゴでタメを作る
方式ではないようです。クロノ作動時にフライバックレバーはハートカムから離れ、レバーの背中から
突き出たタンコブが竜頭方向にあるスプリングを押した状態で止まり、リセット準備OK=引き金を
引いた状態になります。
 
リセットのスピードはそのスプリングの反発力によって作り出されますのでこれはレマニア321の
リリース方式に近いですよね。私ひとつエクセルシオパーク4を持っていますが、リセットボタンは
恐ろしく軽く、まるでタッチセンサーのようです。リセットボタンの役割がこのスプリングを解除する
だけだからでしょうね。