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GPの謎?!


マニュファクチュール標榜するジラール・ぺルゴ社…。
この、ジラールペルゴ(略称GP)について、黒の巣関東支部長のジジさんが、
あえて[GPの謎]について一石を投じました。
掲示版に投稿されたまま、単なる過去ログにするのは惜しいため、今回は
ジジさんの許可を得て、[GP三部作]を原文のまま掲載することになりました。
許可していただいたジジさんに感謝いたします。

画像提供:みつおさん


GPの謎 1

投稿日 8月17日(月)23時11分 投稿者 ジジ

ジラール・ぺルゴ・・なんとクラシックで優雅な名前でしょう。
インターナショナルやユニバーサルに比べたら実にスイス的な響きがあります。
このブランド、私はけっして嫌いではありません。シックなものから派手なもの
まで、そのラインナップは多彩でデザインのひとつひとつも実に勘所をつかんで
おり、美意識をくすぐります。デザイン力と企画力の分野ではカルティエ、
フランク・ミュラーと並んで三大時計と言ったら言い過ぎでしょうか・・。

しかし一方で私はこのブランドに一種の「あざとさ」も絶えず感じています。
ビジネスですから商売っ気があるのは一向にかまわないのですが、時々
だまされたような気持ちになるのもまた事実です。
批判するにはあまりに根拠がなさすぎるので、これは個人的な疑問なのですが
真実を知っている方がいましたら是非教えてください。

1.「ヴィンテージ1994」は本当に限定品だったのか?
  GPのヴィンテージ1994という時計を憶えていますでしょうか?
  94年のバーゼルで登場した18Kの角型でGPの40年代のモデルの
  復刻版です。ケースのサイドに耳たぶのような膨らみがあり、風防は
  ドーム型にとびだしています。白っぽいシルバーマットの文字盤に
  ドルフィンハンド、「12」の数字だけ赤で書かれています。
  ムーヴはFHFだかプゾーだかの希少なデットストックムーヴが
  使われたようです。限定数は203本。94年がGP創業から203年目に
  あたるためこの数量になったとあります。
  雑誌がほめちぎり、味のあるデザインと限定モノであったことから当時
  大変話題になりました。世界中でオファーが凄かったらしいという話も
  聞きました。私も関心があり当時の代理店に電話をしてサイズや価格の
  情報を訊きましたが、限定品だから日本にいくつ入ってくるか分らないと
  言われました。結局その時日本の店頭ではその時計に出会えずじまいだったの
  ですが、しばらくするうちにその年の秋頃からヴィンテージ1994が
  続々と店頭に並び始めました。203本の限定にしてはやけに在庫が豊富です。
  それもあちこちで見かけます。手にとって見てみると限定らしき数字の刻印は
  どこにもありません。「限定」は誤報だったのでしょうか・・。
  翌年の正月に私は香港でもこの時計に出会いました。ネイザンロードから
  一本入った立派な店にひとつだけこの1994がありました。裏ブタを
  見てみると、そこにはなんと“15/203”の刻印・・。
  やはり限定でした。あまりの人気にこっそりレギュラー化してしまったとしか
  思えません。ムーヴはきっと7001あたりの現行を使っているのでしょうか。
  それにしてもこれでは限定品の方を手に入れた人は浮かばれません。限定だからこそ
  手に入れた人もいることでしょう。
  一般に限定品でも実際はもうすこし多い数が出荷されていると言う人もいます。
  オメガのマイヨールモデルやルクルトのレベルソ アールデコのように、デザインを
  変えて再び別の限定として出てくることもあります。しかし、ほとんど同じモデルが
  レギュラー化してしまうというのはちょっと裏切られた気分です。
  その後、このヴィンテージ1994はさくらややキムラヤで97年頃までよく
  見かけることになります。
                                         つづく・・  

 


GPの謎 2

投稿日 8月18日(火)20時57分 投稿者 ジジ

2.GPの尾錠はなぜ1万円なのか?
  6月にGPのクロノグラフを手に入れました。といっても現行品ではなく60年代の
  ステンレスの手巻きのクロノです。中の機械はユニバーサルのCal.281。
  実はこのユニバーサル281をひとつは手に入れたくて探していたところ、ケース径
  33mmの使いやすそうな小振りサイズで竜頭も大きく、表情もなかなか良いこのGPに
  出会ったわけです。お気に入りの時計には純正の尾錠を付けてあげたくなるもので、
  さっそくGPの尾錠を買いに新宿のデパートに行きました。
  時計メーカーの純正の尾錠はこれまでに二つ購入したことがあります。ひとつはロレックス、
  ステンレスで5500円でした。こんな小さなステンレスの部品ごときで5500円とは
  さすが人気のロレックス、強気だなあと思ったものです。もうひとつはブライトリング、
  2000円でした。意外に良心的なので好感を持ちました。今これは古いPremire
  にしっかり付いて活躍しています。
  さてデパートの時計売り場、ショーケースに入ったGPのひとつを指差しながら店員さんに
  たずねました。
  「この時計に付いているような、ごく普通の形の尾錠はありますか?」
  「おとりよせになりますが、ございます」
  「おいくらですか?」
  「えー1万円になります」
  「いっ・・1万円!? そんなに高いんですか?この普通の尾錠が・・?」
  「はい。(現行品の)GPオーナーの方がその時計の付け替え用に購入する場合は
   保証書を提示くだされば7000円になります」
  「そうですか・・検討してみます・・」
  1万円だそうです・・結局GPの尾錠の購入はすっかりあきらめました。
  それにしてもGPさんはどういうつもりの販売戦略なんでしょうか?民間企業の商取引
  ですから、どんな値付けをしようと勝手ですが、ロレックスの2倍くらいのステイタスが
  あると思っているのでしょうか?
                                           つづく・・

 


GPの謎 3−(1)

投稿日 8月19日(水)21時40分 投稿者 ジジ [pm6-45.t-cnet.or.jp] 削除

3.GP3100は本当に自社製ムーヴメントなのか?
  「マニュファクチュール」という名称は本来、部品から最終組み立てまですべてを一貫生産
  できる工房を指しています。各部品の会社を超えた分業体制が極限まで進み、資本関係も
  複雑な現在のスイス時計業界において、もはやこの言葉は死語なのかもしれません。
  機械式腕時計全盛期といわれた今世紀前半においても、ケースや風防、文字盤の専業メーカー
  がありましたから、この時代においてさえすでに、この言葉の存在は意味をなさなかったの
  かもしれません。もはやこの言葉は小規模な工房が家内制手工業的に時計を作っていた
  古き良き懐中時計時代の遺物なのでしょうか・・。

  さて、こういった現代においてさえなお、あえて「マニュファクチュール」を標榜する
  メーカーのひとつがGPです。その「マニュファクチュール」へのこだわりようは業界一とも
  言えるほど気合が入っており、ジャガー・ルクルトが部品工場を公開して「この部品は
  この機械で製造しています」とサラリと言ってのけるのに比べ、GPは言葉だけながら
  「自社ムーブだ」「一貫生産だ」と、その声の大きさには鬼気迫るものがあります。
  最近ではご丁寧にも文字盤にまで「マニュファクチュール」と書き入れる徹底ぶりで
  (もちろんカタカナではありません。カタカナだったら戦時中の「セイコー」のようで
   かわいくて、かえって欲しくなってしまいます)ここまで城壁を固められると、一体
  中に何を隠しているんだと辺に興味が沸いてしまいます。

  GPが日本の時計雑誌に頻繁に登場するようになったのは92年からです。「世界の腕時計」
  でもNo.11(92年4月発売)から毎号に渡って数ページの広告が記事形式で載っています。
  92年というのはGP社にとっても節目の年で、この年現社長であるマルカーソ氏が就任
  しました。彼は元レーサーでありながら時計のセールスに転身、頭角をあらわし、やり手で
  知られているそうです。GP社は宝飾のブルガリ社と深い関係がありますから、もしかしたら
  彼はブルガリの出身かもしれません。
  彼の社長就任と同時にそれまで地味だったGPは生気にあふれ第一線へと踊り出てきます。
  まず、過去の名作であったスリーピンクゴールドブリッジトゥールビヨンを腕時計で復活させ、
  トノークロノのブームを巻き起こし、そして94年ついに自社ムーヴメントGP3100を
  完成させます。
  なぜかこのGP3100完成以前からGPは自らを「今でも一貫生産を守り抜く」と枕詞の
  ように連呼しつづけてきましたが、新ムーヴの開発には確かに時間がかかるでしょうし、
  92年当時にはすでに自社ムーヴは将来の確定事項でもあったでしょうから、ここは
  “企業戦略上の善意のフライング”として大目にみなければなりません。

  それではこのGP3100は本当にGP社で製造されたムーヴメントなのでしょうか?
  答えはわかりません。遠く極東に住む私にはあまりに情報が少なすぎます。海外の掲示板で
  「詳しくは言えないが、あれは外注です」と言っていたフランスの時計業界の人もいましたが
  彼をどこまで信用して良いのかもわかりません。ですから私が何を言おうとそれは全く想像の
  域を出ていないのですが、GP3100に関して腑に落ちないことがあるのも事実です。

                                        3−(2)へ つづく・・


GPの謎 3−(2)

投稿日 8月20日(木)00時34分 投稿者 ジジ

以前ひとつ不思議に思ったのはダニエル・ロートがステンレスの廉価ラインを出し
  始めたときそのベーシックな3針モデルのムーヴにGP3100を採用したこと
  でした。当時ダニエル・ロートは高級メーカーとしての地位を確立したものの
  年産600本という線を越えられずに伸び悩んでいました。表向き「品質を維持する
  ため数を増やさない」と理由づけていましたが、高級品のみ年産600本で事業を
  維持していくのは企業の基盤としてはあまりに脆弱です。実際販売目標を達成していた
  のはイタリアのみで、その他の国では決して思い通りのものではありませんでした。
  そこにテコ入れにはいったのがシンガポール資本のアワーグラスで、まず高級イメージを
  背景に廉価モデルを量産することで利益を確保する戦略に出ました。いわば薄利多売です。
  発足当時「プラチナとピンクゴールドのモデルしか作らない」と明言していたロートに
  とって屈辱的な方針変更かもしれませんが、現実には生産数は伸び、現在年産1500本
  と言われています。
  
  この廉価ラインはまず最初にステンレスのクロノグラフが登場します。ムーヴは
  ゼニスのエル・プリメロ。そしてその後3針モデルが出てくるわけですが、私は
  てっきりゼニスのエリートが採用されるものと想像していました。エル・プりメロを
  採用した経緯から仕入れは一本化した方が管理面でもコスト面でも都合が良いですし
  何よりこのエリートはGP3100を差し置いて「Movement of The Year」
  を受賞している出来の良いムーヴです。高級メーカーであるダニエル・ロートに
  ふさわしいのではないかと考えていました。
  しかし採用されたのはGP3100です。これはやはり、エリートに比べゼニスからの
  一括購入のメリットを上まわるほどに価格が安かったのではないかと思っています。
  当時のダニエル・ロートの状況からして、やはり優先すべきはコストであり利益で
  あったのでしょう。ステンレスの廉価ラインそのものがコストダウンによって利益を
  確保する目的のものですから、その目的にGP3100が合致していたということ
  だろうと思います。今のところGP3100がエリートに勝る部分があるとしたら
  価格が安いという理由しか思い当たりません。

  ゼニスのエリートはゼニス社長のインタビュー記事によると3針のもっとも
  ベーシックな仕様で150スイスフラン(約15000円)。一方汎用ムーヴとして
  広く使われているETA2892は最もベーシックな仕様で25ドル(約3700円)
  です。ダニエル・ロートとしては価格だけをとればETAという選択肢もあったでしょうが
  ETAでは高級メーカーとしてふさわしくない、かといってエリートではあまりに
  高すぎる。そこに手頃な価格としてあったのがGP3100だったのではないかと
  思っています。

                          3−(3)へ つづく 


GPの謎 3−(3)

投稿日 8月20日(木)00時36分 投稿者 ジジ

  しかしなぜGP3100は新開発ムーヴでありながら、そこまでの低コストが打ち出せた
  のでしょうか? しかもそれまでGPはほとんどすべての時計を外部のエボーシュに
  頼っており、もし自社内で生産するとなると多種多様な工作機械までそろえなければ
  なりません。それはそれは大変な金額の投資になるはずです。ムーヴメントの品質に
  それなりの差があったとしても既存の設備を利用できるゼニス社のコストをそう簡単に
  下回れるものではありません。
  確かにGPは60年代までジロマチックなど自社で機械式ムーヴを生産していたようです。
  しかし、70年からは積極的にクオーツへの移行をはかっており、94年までどこかに
  生産設備を温存していたとは思えません。
  そうなると、もし本当にムーヴメントの価格がゼニスのエリートより低かったとしたら
  部品の大半、あるいはムーヴの組み立て段階まで外注していると考える方が自然の
  ような気がします。

  私がこのGP3100に少々疑いの目を向けるようになった発端はバーゼル94の
  様子を伝える小さな記事でした。この年のバーゼルでGPはGP3100誕生を祝う
  盛大なパーティーを開きました。そのパーティーには「ETAの技術者もかけつけ
  祝いのスピーチをした」とあります。
  GP3100誕生以前にはGPはクロノグラフ以外のほとんどのムーヴにETAを
  使用していました。ところがこの新ムーヴの登場によってETAの使用量は激減する
  はずです。言いかえればETAはGPに切られたのです。それにもかかわらず、
  普通の業界パーティーならいざしらず、その張本人であるGP3100のお披露目
  パーティーになぜのこのこ出て行くのか不思議でした。
  もしかしたらETAはGP3100登場以降もGPとの取引量が減らないのではないか?
  技術者が出席したということは開発段階で相当ETAの協力を得ているのではないか?
  はっきり言えばGPの外注・・つまりGP3100を実際に作っているのはETAでは
  ないのか・・?と、勘ぐっているわけです。

  はじめに申したようにこれは私の個人的な想像です。
  決して嫌いなブランドではありませんからできれば勘ぐりたくもありません。
  GPではムーヴメントはブルガリとの共同出資の子会社である「GPマニュファクチュア
  S.A.]で生産していると発表しています。その生産とはどのレベルのものなので
  しょうか? これまで雑誌などではGPのアッセンブリ以降の工程の機械などは見たことが
  ありますが、プレス機や焼入れや、そういった油くさい部品製造の工程の現場の写真は
  見たことがありません。
  是非公開していただいて私もすっきりしたいものです。
                                     おわり


GPの謎 <追加>この文章はメールでいただきました

「GPの社長のマルカーソ氏は社長就任以前はイタリアのブライトリングの代理店で
 販売にたずさわっていたらしく、当時イタリアでのブライトリング大ブレイクの火付け役
 として頭角をあらわしたそうです。その当時あるいはその後のブルガリ社との関係に
 ついては調査中です」

うーむ、まだまだ続きそうですね。調査が明らかになりしだい、掲載を続けます。

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